まず、1級ですが、「納期・生産管理」に関する問題に誤りが多いようです。特に「キャッシュ・コンバーション・サイクル」の計算問題の得点率が低くなっています。これは製造現場でみれば在庫、営業的には販売資金回収、購買では調達品の支払買掛けに関するものですが、キャッシュ・コンバーション・サイクルを経営的にみると運転資金をどう最小にするか、もしくは借り入れを最小にするかということであり、とても大切です。
製造でいえば在庫金額ですが、やはり比較や活動しやすい日数にして低減する活動にすることが管理上大切なことと思います。日常、製造部門をみていると重点管理対象から抜けがちですが、在庫が少ない組織はオペレーションレベルが高い傾向にあります。在庫低減を行えるフレキシブルなライン・生産システム(段取り切り替え短縮化、稼働率向上)への改善が継続的に行えるためにも、また経営との繋がりを理解する点においても、正確に意味を知っておきましょう。
その他として、出題数はそれほど多くはないものの、残念ながら不合格になった方は「安全・環境」が低得点という傾向にあります。昨今「安全・環境」は基本でもあり、日常的にも多くのことに活用できるため、理解を深めていただければと思います。特に安全は職場の中でも最優先の事項であります。日常の活動はしっかり実行されていると思いますが、その考え方・ポイントを知識として理解し、日常活動のレベルアップや正確な意味の再確認に繋げていただければと思います。
つぎに2級ですが、毎回の傾向として「コスト」と「納期・生産管理」に関する誤りが多いようです。今回の第9回も同じ傾向でした。
「コスト」に関する問題で誤りが多いのは計算問題で、「設備総合効率」、「パフォーマンス面におけるロス改善ポイント」などの得点率が低いようです。昨今、これらの計算自体はシステム化やエクセル化がされているなど、大変便利になっています。しかしながら、大切なことはその背景にある意味や原理原則です。そのことを理解していなければ、分析的にロスをみられない、改善の対象の絞り込みができない、改善効果が見積もれなくなるなどの弊害がでてきます。管理するこということは、目標数値をつくる(=計算する)、効果を検証するというサイクルなので、この数値の意味や計算について、理解をしていただきたいと思います。
また、「納期・生産管理」は、「コスト」以上に得点率が低くなっています。ご存知のとおり、「納期・生産管理」は、製造工程の重要な関連要素です。通常生産ではルーティンに生産計画が製造部門に落とされ、それを実行していくことになりますが、その上位の仕組みや構造、そして改善のポイントを知っておくことで実務において改善できる範囲が広がり、効果も大きくなる可能性があります。たとえば、現場に落ちてくる生産計画がよくない場合、上流のどの情報のやり取りを改善すればよいかなどのポイントがみえてくることに繋がります。これらの点を踏まえて、「納期・生産管理」を正確に理解していただきたいと思います。
まず、3級ですが、「コスト」に関する計算問題に誤りが多いようです。特に「編成効率」、「目標サイクルタイム」、「総合パフォーマンス」、「作業パフォーマンス」、「ワークサンプリング」の計算が不得意とみられます。これらの数値はどれも現状把握や現場改善で重視するものになるため、どのように計算するのかをとおしてその数値の意味を十分理解していただきたいと思います。
なお、ベーシック級よりワンランク上の内容である「原価」に関する内容も現場改善の目的やねらいを理解するうえで大変重要な項目になりますので、リーダーになったら十分理解しておいていただきたい項目の一つです。
また、今回得点が低かった「納期・生産管理」に関しては、生産計画(大日程、中日程、小日程)に関する問題がウイークポイントになっているようです。現場リーダーとして、自分の職場に指示される日々の生産計画がどのような仕組みの中で決定されているのかをよく理解し、メンバーとも共有して、皆で日々の生産納期を守っていく職場づくりをしていただけるように願っています。
つぎにベーシック級ですが、毎回の傾向として「コスト」と「安全・環境」に関する誤りが多いようです。残念ですが、今回の第9回検定もまったく同じ傾向にありました。
「コスト」に関する問題で誤りが多いのは計算問題で、「編成ロス」、「設備の総合効率」、「材料のロス」に関する計算ができていませんでした。最近は多くの計算ソフトが便利に活用でき、計算式を入れておけば、その計算式の意味を知らなくても数値が算出されます。あるいは、スタッフ部門で、計算した結果だけを表にして現場に提示している場合も多くみられます。生産マイスター検定において、なぜ計算問題を重視しているかというと、その計算式にこそ、なぜその数値を把握し、管理し、改善しなければならないのか、どういう改善をするとその数値はレベルアップするのかが示されているからなのです。この点を踏まえて、現場で管理すべき数値と、その意味を十分理解していただきたいと思います。
「安全・環境」に関する問題で誤りが多いのは、用語の意味や関連する法律に関する内容です。皆さんが社会人になるまであまりなじみがない言葉や法律を覚えることなので、少し抵抗があるかもしれませんが、職場ではよく使われる言葉だと思います。また、守るべき法律なので、自身の安全、仲間の安全、そして社会への環境貢献をめざして、日々の仕事を進めていただきたいと思います。
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